2019/07/01

6月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:1196
ナイス数:30

方舟さくら丸 (新潮文庫)方舟さくら丸 (新潮文庫)感想
「・・・その瞬間は予告なしにやってくる。突然はじまり、気付いたときには終了しているのが核戦争なのだ。・・・」核戦争で死ぬことを恐れ、採石場あとに方舟を建設した主人公は、・・・「・・・誰が生きのびられるのか、誰が生きのびるのか、ぼくはもう考えるのを止めることにした。」考えることをはじめからしていなかった読者としては何とも・・・
読了日:06月29日 著者:安部 公房
ヒロシマ・ノート (岩波新書)ヒロシマ・ノート (岩波新書)感想
この本を最後まで読み終えたひとは、核兵器を保有すべきだと主張したり、戦争によって問題を解決したほうがいいなどと暴言をはいたりすることはないだろう。「・・・しかし、告発せず沈黙して死んだこの二十歳の娘は、われわれに、もっとも寛大な情状酌量をした。われわれには、くみとられるべき情状などありはしないが、二十歳の娘は、おそらくおとなしい威厳をそなえた性格だったので、われわれに憎悪の告発をおこなわなかったのだ。」大半の人間が、東京オリンピックに浮かれていた1964年前後に書かれたこの本の存在に驚きを禁じ得ない。
読了日:06月16日 著者:大江 健三郎
吾輩は猫である (新潮文庫)吾輩は猫である (新潮文庫)感想
「細君は乳呑児を一尺ばかり先へ放り出して口を開いていびきをかいて枕を外している。およそ人間において何が見苦しいと云って口を開けて寝るほどの不体裁はあるまいと思う。・・・」クシャミ先生の家族とその家に出入りする人間たちの織り成すドタバタ喜劇を猫目線で描き出す。「主人は早晩胃病で死ぬ。金田のじいさんは慾でもう死んでいる。・・・死ぬのが万物の定業で、生きていてもあんまり役に立たないなら、早く死ぬだけが賢いかも知れない。」作者はこのころからすでに死を覚悟しながら生き続けていたのだろう。
読了日:06月08日 著者:夏目 漱石

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