2019/06/02

5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1662
ナイス数:41

漱石の思い出 (文春文庫)漱石の思い出 (文春文庫)感想
「・・・ああいう病気は一生なおりきるということがないものだ。なおったと思うのは実は一時沈静しているばかりで、あとでまたきまって出てくると申されて・・・・」20代のころから胃の病に苦しみ、精神も病んだ漱石を、愛情あふれた妻の口から優しく語り継がれる。「あるほどの菊投げ入れよ棺の中 漱石」
読了日:05月24日 著者:夏目 鏡子,松岡 譲
道草 (新潮文庫)道草 (新潮文庫)感想
著者の自伝的小説である。(「雌蝶も雄蝶もあったもんじゃないのよ貴方。だいち御盃の縁が欠けているんですもの」「それで三々九度を遣ったのかね」「ええ、だから夫婦仲がこんなにがたぴしするんでしょう」)仲が悪そうでそうでもない、ユーモラスな凸凹夫婦である健三夫婦。最後、「世の中に片付くものは殆どありゃしない。一遍起こった事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変わるから他にも自分にも解らなくなるだけの事さ」と、しめくくられる。
読了日:05月15日 著者:夏目 漱石
沖縄ノート (岩波新書)沖縄ノート (岩波新書)感想
作者は幾度となく問いかける。「・・・日本人とはなにか、このような日本人ではないところの日本人へと自分をかえることはできないか、」幾度となく訪れた沖縄のルポルタージュ、まさに「沖縄ノート」である。「・・・誰がこの舞い狂う老女を、真に屈服せしめえよう?」《日本の方々には募金してもらうより日本人自身のことを考えてもらいたい》「・・・・・酷たらしく死んだ沖縄の娘たちの死は、いわば琉球処分以後のすべての沖縄の、望ましい日本人たろうとつとめた女性たちの歴史的つながり総ぐるみにおいての死であった。・・・・・・」
読了日:05月08日 著者:大江 健三郎
みずから我が涙をぬぐいたまう日 (講談社文芸文庫)みずから我が涙をぬぐいたまう日 (講談社文芸文庫)感想
「この中編小説を、僕はまさに三島の自決の翌年に、それにこたえるようにして書いたのでした・・・」作者あとがき/本書は、作者の主張がおそらく意図的にボカシてあるので、読む側は忖度?してそれを読み取り、自分なりにまとめる(解釈して消化する)他ないのではないのだろうか?「・・・滑稽な話であるが、その時には、天皇陛下万歳!と叫んで、自分こそがあの人の血を真につぐものであることを認めてもらおう、と思ったことである。」
読了日:05月06日 著者:大江 健三郎
一九五二年日航機「撃墜」事件 (角川文庫)一九五二年日航機「撃墜」事件 (角川文庫)感想
「・・「もく星」号墜落事故は、とりも直さず日本の空を軍事的に掌握している極東空軍の管轄の責任でもある。その事故が人為的なそれであろうと、不可抗力であろうと、その責任は、極東空軍にある。・・」1971年7月30日、全日空機が自衛隊機に「仮想敵機」として演習の目標にされ、岩手県雫石付近に墜落したという新聞記事で、「日本の黒い霧」で書いた「もく星」号遭難事件の事故分析の間違いに気付いた作者は、以後「風の息」という長編小説を書き、20年経てからこの作品が生まれた。きっかけは、1983年の大韓航空機撃墜事件らしい。
読了日:05月02日 著者:松本 清張

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